安倍晋三元首相の殺害から注目が集まっている宗教とカネの問題。だがこれは今に始まったことではない問題のはずだ。英紙「フィナンシャル・タイムズ」東京特派員レオ・ルイスが、日本の宗教の威力とアベノミクスの失敗とを切り結ぶ。 強欲カルトの一員であることが恥ずかしくなる場所は地元のスーパーだと、ある高齢の元信者が私に語ってくれたのは数年前のことだ。 年金生活者の自分がいちばん高い油揚げを10キロ買い、それをすべて川に投げ入れて狐神のご機嫌をとろうとしていることを誰もが知っているからだと言っていた。 長野県の小諸市で会ったまた別のカルト元信者らが見せてくれたのは、かつての熱狂的な信仰心の証しであり、いまとなっては懐を痛めた後悔の品がしまわれた戸棚だった。小諸には謎めいた神道系セクトの本部があり、一時は日本中で何千人もの信者を擁していた。 信者は癒やしの妙薬の瓶を1本6万円で、本部の神社で次々に買わされ