あけましておめでとうございます。おかげさまで「マガジン航」は創刊11回目の新年を迎えることができました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 * * * この年末年始は、戦後の出版史にかんする本をずいぶん読んだ。いま、日本の出版界は「再起動」が求められている。そのための手がかりがみつかるのではないかと思ったからだ。 ちょうど中央公論新社から、みすず書房の創業者・小尾俊人の1965年から85年にかけての詳細な業務ノートが『小尾俊人日誌 1965-1985』として刊行されたので、この本をきっかけに『小尾俊人の戦後――みすず書房出発の頃』(みすず書房)を読み、続けてこの本の著者である宮田昇さんが書いた『戦後「翻訳」風雲録』(本の雑誌社)とその改訂版『新編 戦後翻訳風雲録』(みすず書房)を読んだ。さらに『風雲録』でも詳細に触れられているSF作家・翻訳者の福島正実の自伝、『未踏の時代――日本S