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ブックマーク / manba.co.jp (13)

  • 鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信

    鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが

    鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信
    kaos2009
    kaos2009 2024/06/01
    “我々のような立場では、いつもわかりやすく面白い構図で歴史を描き、受け手に興味をもってもらわねばならない。と同時に、じつは案外そうじゃないかも、という視点を常に持って相対化を組み込んでいかねばならない
  • 『天国 ゴトウユキコ短編集』双葉社 2023年 ジャンルについて(1)【夏目房之介のマンガ与太話 その22】 | マンバ通信

    今回は『天国 ゴトウユキコ短編集』【図1】を取り上げてみたい。すでに活躍している作家で、ちょっと怖い作品や人の闇を扱うような作品も描いているようだ。が、申し訳ないが、私はこので初めて読ませていただく。版元から送ってもらったのだ。 『天国 ゴトウユキコ短編集』 表紙を飾る少女の絵が、この作家の資質を示している。ピュアな少女の表情をサラッと描いているように見える。しかし、どこを見ているのかわからない二つの瞳の微妙な位置関係、小さな鼻に慎重に描かれた鼻の穴、唇の位置や繊細に引かれた線、淡い彩色の気遣いなど、とても注意深く表情を描き込んでいる。このを手に取る人は、そんなことまで考えないだろうが、無意識にそうした繊細さを受け取っているはずだ。漫画読者であれば、初見でもそうした無意識の印象で、ある種の「期待」をもって手にとるかもしれない。 『天国までひとっとび』『2月14日の思い出』『家庭教師』

    『天国 ゴトウユキコ短編集』双葉社 2023年 ジャンルについて(1)【夏目房之介のマンガ与太話 その22】 | マンバ通信
    kaos2009
    kaos2009 2023/09/29
  • 「浦沢直樹の漫勉」と諸星大二郎の「謎」【夏目房之介のマンガ与太話】 | - マンバ

    いやあ、まさか諸星大二郎先生が漫画を描いている瞬間を目にできることが今生であろうとは思わなんだ。 NHK「浦沢直樹の漫勉」*1という番組である。浦沢直樹が漫画家と、その執筆場面を5台の固定カメラで撮った映像を見ながら、毎回語りあう。浦沢は、漫画家の中では批評的で実践的な言葉を持つ作家*2で、作家ごとに重要なポイントを言葉で探り、対話で進めてゆくことができる。その手練は見事である。 また漫画家は、喋りが苦手で、うまく言葉を繰り出せない人も多い。漫画をよく知らない取材者に対して、時に見当違いな発言になったり、寡黙になってしまうのは、漫画の制作作業の内訳について双方が語りあえる言葉を持っていないからなのだ。 困ったことに漫画家は、一方でちょっとした違和感にも繊細に反応し、「何か違うな」と思うと、聞かれたことに過剰に否定的にふるまいがちだったりする。なので、発言がいつも隔掻痒な違和感に満ちたりも

    「浦沢直樹の漫勉」と諸星大二郎の「謎」【夏目房之介のマンガ与太話】 | - マンバ
  • 藤子不二雄、白土三平、石森章太郎、横山光輝……豪華絢爛な執筆陣による連作忍者漫画『忍法十番勝負』 | マンバ通信

    『忍法十番勝負』 『忍法十番勝負』は昭和39年、秋田書店の漫画月刊誌『冒険王』に10回にわたって連載された作品です。 10人の豪華な漫画家さんの顔ぶれには唸らざるを得ません。 『忍法十番勝負』(秋田書店)より。堀江卓、藤子不二雄、松あきら、古城武司、桑田次郎、一峰大二、白土三平、小沢さとる、石森章太郎、横山光輝と夢のような10人によって描かれました。 「○○で打線を組んでみた」、というネタがネット上で見られますがまさにそのままです。 何故あの漫画家さんが入ってないかという考えは捨てるべきで、忍者漫画を連作してみたら面白いに違いない。 『冒険王』がこう考えてこの10人を揃えたという事実で充分です。 3歳だった私は当然連載時には読んでません。初めて読んだのは小学生、秋田書店サンデーコミックス版でした。 理解度は低かったと記憶してます。 その後も何度か読み返しますが作品内容の印象は薄いままでし

    藤子不二雄、白土三平、石森章太郎、横山光輝……豪華絢爛な執筆陣による連作忍者漫画『忍法十番勝負』 | マンバ通信
  • 老後2000万時代に読む藤子F「定年退食」、そして浅野いにお「TEMPEST」 | マンバ通信

    世相的な話から始めます。 金融庁が公表した「公的年金以外に老後資金2000万円が必要」という報告書は、大きな波紋を呼びました。政府はその報告書を受け取らない=なかったことにしたわけですが、そのインパクトはすさまじく、「年金だけで暮らすのはもう絶対無理なんだな……」というのが国民の間に暗黙のコンセンサスとして根付いた感はあります。実際あちこちの雑誌やウェブサイトで「どうやって2000万円ためるか」みたいな特集やってるし、NISAiDeCo始める人も増えたらしいし。 というか「老後2000万円」って絶対、2019年の流行語大賞にノミネートされますよね。なんなら大賞取るかもしれない。それくらいインパクトのある言葉でした。 で、このニュースを見たときに、こう思ったのです。 「藤子・F・不二雄の『定年退』の世界が、ついに現実化した」と。 僕だけじゃない。「定年退」を読んだことのある人はきっと全

    老後2000万時代に読む藤子F「定年退食」、そして浅野いにお「TEMPEST」 | マンバ通信
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    kaos2009 2019/07/19
  • 【コメントあり】マンガ原作界の巨匠・狩撫麻礼氏の追悼本がいよいよ双葉社より発売! | マンバ通信

    2018年の1月に亡くなったマンガ原作者、狩撫麻礼(かりぶ・まれい)氏。 漫画原作者の狩撫麻礼(土屋ガロン、ひじかた憂峰)さんが逝去されました。弊誌では、漫画アクション50周年にお祝いのコメントを頂いたのが最後の原稿となりました。担当になってから22年、沢山の事を教えていただきました。感謝の言葉しかありません。当にありがとうございました。(編集長・H) — 漫画アクション編集部 (@manga_action) January 15, 2018 1979年『East of The Sun, West of The Moon』(画・大友克洋)でマンガ原作者としてデビューして以降、『青の戦士』(画・谷口ジロー)、『迷走王ボーダー』(画・たなか亜希夫)、『ハード&ルーズ』(画・かわぐちかいじ)など多くの作品の原作を手がけてこられました。90年代半ばには「マンガ原作者、狩撫麻礼」の名前を捨て、土屋

    【コメントあり】マンガ原作界の巨匠・狩撫麻礼氏の追悼本がいよいよ双葉社より発売! | マンバ通信
  • いま縦スクロールマンガを読むことは時代の生き証人になることだ | マンバ通信

    いやしかし、いま、このタイミングで縦スクロールのマンガを読まないのは、この時代に生きている意味がないんじゃないかくらいの機会損失だと思うんですよ。歴史が生まれる瞬間を見逃しちゃうの? くらいのことだと思うんです。いま目の前で歴史が作られている! のでは?? ということであります。 手塚治虫が、マンガ文法を発明しながらマンガを描いていたようなことが、いま縦スクロールのマンガでは起こっているかもしれない、と。表現手法の発明ラッシュが起こっているんじゃないのかと。

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    kaos2009 2019/04/05
  • マンガで(ひとまず)満たす「感情にふりまわされず原稿を書きたい欲」 | マンバ通信

    こんにちは、Mk_Hayashiです。年末進行シーズンまっさかりで、色々な方が──特に自分と同業のライターの方々は──ゾンビになりかけている頃かと思います。 自分は人付き合いが悪いこともあり、同業者の知り合いが(ほぼ)いないのですが、もし親しい知り合いができたら一度してみたいのが「ウェブ媒体に書いた記事の反応、どれくらい気にしている?」という質問。 自分は末端中の末端に属しているのと、ニッチともいえる分野のお仕事が多いゆえ、滅多に自分の名前が表に出ることがありません。なのでウェブ媒体で署名記事を書いたときは、読み手からの反応(PV、アクション、エンゲージメント、そのほか諸々)を、か〜なり気にしてしまいます。 おまけに心が絹ごし豆腐どころか、おぼろ豆腐レベルで脆いので、読み手からの反応にメンタルが激しく左右され、状況によっては体調にまで悪影響が出てしまう。そんなこともあり、長らく「感情にふり

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    kaos2009 2018/12/08
  • 遠回りが実ったマンガ家への道「王様ランキング」goriemonインタビュー – マンバ通信

    今年8月にSNSで突然ブレイク、今もっとも更新が待たれるWebマンガ「王様ランキング」。その作者・goriemon(*当時。現在のペンネームは十日草輔)にインタビューをおこなった。 「たぶんこれがデビュー作だと思うけど、いきなりこんなクオリティの作品を描けるって、いったいどんな人物なんだろう?」と思っていたら、取材場所に現れたのは……。 「王様ランキング」とは… 耳が不自由で非力な王子ボッジが多くの人と出会い、成長していく物語。投稿サイト「マンガハック」にて更新中(ほか「ニコニコ静画」「マンガボックスインディーズ」でも公開)。「次にくるマンガ大賞2018」Webマンガ部門ノミネート作品。 40代で会社を辞め、マンガ家の道へ ──(あれ? 思ってたよりも……) 意外と年取ってて驚いたでしょう(笑)? 僕、43歳なんです。 ──HPに「2016年に会社を辞めてマンガを描き始めた」と書いてありま

    遠回りが実ったマンガ家への道「王様ランキング」goriemonインタビュー – マンバ通信
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    kaos2009 2018/09/19
    投稿先にマンガハックを選んだ理由
  • 大友克洋『AKIRA』の仮囲いコラージュは東京の新名所だ | マンバ通信

    写真:池ノ谷侑花(ゆかい) こんばんは。マンバ通信伊藤です。 渋谷のパルコがドーンと建替え中なのは、ご存知でしょうか。 地上20階地下3階建てのでっかいやつが2019年に完成する予定なんですよね。 2019年完成か、世はトーキョーゴリンに向かって建設ラッシュですナ、 とかのんきに蒟蒻畑ミニカップタイプとかを頬張っていたんですけど、なんか、工事してる時のフェンスがあるじゃないですか。仮囲いっていうの? その仮囲いね。渋谷パルコの仮囲いに大友克洋の『AKIRA』がコラージュされてるじゃあありませんか! そういえば5月くらいにそういうニュースを見た気がするけれど、ついに実現したんですね。映え? これが映えなの? おじさんにも教えてくれ、これが映えなのか! こんな感じになってる! これはもうニュー観光名所と言ってもよいのではなかろうか。 よく知られているように『AKIRA』の舞台設定は2019年。

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    kaos2009 2017/12/03
    日本のストリートアートは漫画が似合う
  • アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(17)風呂敷包み | マンバ通信

    「この世界の片隅に」でわたしたちがまず引き込まれるのは、幼いすずが船を下り、風呂敷を背負い直す場面だろう。わたしは原作を読んだときにまずこの小さな所作を描いた3コマに引き込まれたのを覚えている。 【図1】 1コマ目、すずは力まかせによっこらせと背負うのではなく、固い壁に風呂敷を壁に押し当てるという謎めいた所作をする。しかし2コマ目で、その所作にはちゃんと訳があって、風呂敷をちょうど肩に来るような高さに押し当てていたのだと分かる。なぜならそのコマでは、すずが自分の背中と壁とで風呂敷を落ちないようにはさんでおり、風呂敷の布の余った部分がちゃんと首の前に来て、すずはちょっとだけ壁に体重を乗せて(このコマの、足の位置の描き方が実に巧みで、胴体がわずかに壁側に押しつけられている感じが出ている)、落ち着いて風呂敷を結わえている。3コマ目で歩き出したすずの左足の下駄の裏は、この小さな一仕事を終えたあとの

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    kaos2009 2017/05/12
  • コロコロコミックを愛し、コロコロコミックに愛された男 曽山一寿インタビュー | マンバ通信

    写真:川瀬一絵(ゆかい) 『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』あるいは『でんぢゃらすじーさん邪』というマンガを覚えておいででしょうか! (『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』1巻より) 主にハイティーンから20代の男性なら、あー!!!!!!! と叫びガタンと席を立ってくれるでしょう。そうです月刊コロコロコミックでずっと続いている、控えめに言ってすっげえくだらねえギャグマンガです。児童ギャグマンガの大傑作と言っていいでしょう。子供向けのマンガだと思われがちですが(実際にそうなんだけど)、大人が読んでも充分楽しめる内容なんですよね。マンガの文法を壊しにかかるメタ視点のギャグも炸裂してるし。 今日は「でんぢゃらすじーさん」シリーズの作者曽山一寿さんのインタビューをお送りいたします。 コロコロを愛し、コロコロとその読者に愛される曽山先生の貴重なインタビューをお楽しみください! マンガよりコミックスを作りた

    コロコロコミックを愛し、コロコロコミックに愛された男 曽山一寿インタビュー | マンバ通信
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    kaos2009 2017/02/14
    でんぢゃらすじーさん
  • 「この世界の片隅に」監督・片渕須直インタビュー 調べるだけではだめだ、体験しないと! | マンバ通信

    写真:ただ(ゆかい) 現在公開中の映画「この世界の片隅に」。戦時中の日常生活を描いたこの作品の監督・片渕須直に、映画制作と原作の良さについて聞いたのだが、驚かされたのは徹底してリアリズムを追い求めるその姿勢だった。フィクションだからあいまいな描写が許されるというわけではない。その愚直な制作姿勢が、映画の主人公「すずさん」の実在感を支えているのだろう。そのすごい監督が「すごい」と絶賛する、こうの史代の原作についてもあわせて語ってもらった。 まず、体験することから始める ──原作を読んで感銘を受けたから映画化を決めたと思うのですが、具体的にどういうところが良かったんですか? 原作は上・中・下巻あるんですけど、上巻の4分の3くらいで決めちゃったんですよ(笑)。そこまでに描いてあるのは、すずさんが子供の頃の話。広島から呉にお嫁に来る話。お嫁に来たところでいきなりもんぺを作らなきゃいけなくなって、着

    「この世界の片隅に」監督・片渕須直インタビュー 調べるだけではだめだ、体験しないと! | マンバ通信
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    kaos2009 2016/11/16
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