見渡す限り青白く光る氷原の続く南極海にいる。「しらせ」が行く手を阻む氷を砕きながら徐々に昭和基地までの距離を縮めている間、私はデスクワークや打ち合わせが少しあるほかはこれといってやることがない。そこでたびたび船外に出ては景色を眺めているのだが、昨日、我が目を疑う信じられないものを見た。 遥か彼方から複数のアデリーペンギンがやってくるのがおぼろげに見えた。あわてて船室からカメラをとってきて、ファインダー越しに待ち構えるうちにいよいよ胸が高鳴った。やってきたのはペンギンの後にペンギンの続く大行列。整然と隊列を組み、あるいはよちよちとした直立二足歩行、あるいは腹這いになって滑りながら意気揚々と行進してくる。