今日のテーマは「近作を語る」とありますが、最近の仕事の中でも、特に海外の仕事を中心にお話したいと思います。 建築の分野でもグローバリゼーションが進んでいる中、この10年くらいでわれわれも海外の仕事が増えてきました。そうした仕事を通して、日本とは何だろうか、と考える機会が多くなりました。また逆に日本の仕事を通じて、海外で仕事をすることの意味についても考えます。私は既に50年以上仕事をしているわけですが、若い時には国内でまかなえる素材だけを使って、いかに建築をつくるかという課題が常にありました。しかし高度経済成長期に入り日本が豊かになってきますと、海外から素材を輸入して日本の建築に使うということが可能になりました。その頃は素材に関してのみでしたが、中国など新興国の経済が台頭してきた現在では、素材だけでなく部品までも海外で調達するということが、世界各地で起きています。 海外で仕事をする時は、当然