「本当に生きた心地がしなかった」。御嶽山が噴火した際に頂上付近にいた長野県飯島町の山岳ガイド、小川さゆりさん(43)は、興奮した様子で当時を振り返った。 朝からガイドの下見のため御嶽山に登っていた小川さん。午前11時40分ごろ頂上に到達し、火口を回る「おはち巡り」をしていたところ、突然「ドカン」と大きな音がした。驚いて音がした方向を向くと、石を空中に飛ばしながら、一気に煙が噴き出していた。まもなく強い硫黄臭が漂い、嘔吐する登山客もいた。 火山灰とともに、周囲に直径1メートルぐらいの大きさの石が飛んできたため、急いで岩陰に隠れた。まもなく、もう一度「ドカン」という音が鳴り、今度は軽トラック大の石が飛んでくるようになった。巨大な石は地面にぶつかって割れ、破片が四方八方に飛び散った。黒い雨が降り始め、雷も鳴った。灰はひざ上まで積もった。「もうダメだ」。そう思った。 噴火当時、頂上には50人ぐらい