招待席 前島 密 まえじま ひそか 明治期の官僚 1835.1.7-1919.4.27 越後(新潟県)生まれ。我国近代郵便制度の確立に努めた。国字改良論者としても知られる。 掲載作は慶応二年(1866)十二月、時の将軍徳川慶喜に奉った建白書である。長崎遊学中に知り合ったアメリカ人宣教師から「難解多謬の漢字」による教育の不都合を指摘されたことによるとされる。明治に入り近代国家建設の大本である教育普及には国字、国文の改革が不可欠なものとみなされるにいたり、改めてこの建言は見直され、大きな問題として浮かび上がった。言文一致の国語改革の出発点とも言える史料である。 漢字御廃止之議 国家の大本は国民の教育にして其教育は士民を論せす国民に普(ひろ)からしめ之を普からしめんには成る可く簡易なる文字文章を用ひさる可らす 其深遠高尚なる百科の学に於けるも文字を知り得て後に其事を知る如き艱渋(かんじふ)迂遠(