「言葉は生き物」はありふれた譬喩であるが、生きている以上、それは生長したり衰退したりするはずである。わたしたちが日ごろ用いていて気づかれにくい、そうした日本語の諸現象に焦点を絞って考える一冊。オリンピック憲章の「より速く云々」の「より」の考察を手はじめに、「一兵卒」の読み方を論じ、「憂う」の活用の揺れを考える等々、日本語の機微を論ずる十二章と、首をかしげたい現今の日本語について異論を述べた「発言」三篇を収める、前著『日本語に関する十二章』(小社刊)に続くエッセイ集。 【著者略歴】 工藤力男(くどう りきお) 1938年秋田市に生まれ、育つ。 金沢大学法文学部・京都大学大学院に学ぶ。 愛知県・大阪府の高等学校、広島女子大学・岐阜大学・成城大学の教壇に立つ。現在、成城大学名誉教授。 共編著書 『万葉集』(岩波文庫 2013~16)ほか 著 書 『日本語史の諸相』(汲古書院 1999)、『萬葉