宋朝体は日本では1920年頃には使わていたと『石井茂吉と写真植字機』にある(p309)。それ以前に使用されていた可能性については、図案文字では似た文字が書かれていた可能性があり、活字では中国で印刷する方法がある。 中国では日本の宋朝体に近い仿宋体活字が作られている。『芸文印刷局の1930年代の中国におけるグラフィックデザイン動向への貢献』には、1900年代から30年代までの近代中国で作られた活字のリストがある。36の活字が紹介されており、鋳造された活字は仿宋体と楷書体が約半数ずつで、明朝体は一つにとどまっている。ただ、すべての活字を網羅しているかどうかは不明な点と、仿宋体が倣宋体と表記されている。最近は倣宋体が正しいことになったのかもしれない。古くから仿宋体が使われていたとすると、本木昌造はウィリアム・ギャンブルから宋朝活字の製作方法を教わらなかったのだろうか、という疑問も浮かんでくる。教