サケを迎える伝統儀式「アシリチェップノミ」を行うラポロアイヌネイションのメンバーら=2020年9月20日、北海道浦幌町、朝日新聞社 北海道南東部、十勝川下流に位置する浦幌町。3月上旬、雪で覆われた浦幌十勝川の河口から上流を眺めながら、地元のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」の会長、差間正樹さん(72)が静かに訴えた。 「いつのまにか、サケは『捕る』ものから『つくる』ものになってしまった」 かつて十勝川沿いには、多くのアイヌのコタン(集落)があった。毎秋、生まれた川に戻ってくるサケは、神々の国から送られた「カムイチェプ(プは小文字)」(神の魚)と呼ばれ、生活に欠かすことのできない重要な存在。主要な食料であり、交易の品でもあった。 丸木舟でサケを捕り、儀式の場所に戻ってきたラポロアイヌネイションのメンバーら。現在、道内の河川でのサケ漁はアイヌ文化の伝承、保存目的に限り、知事の許可のもとで