図説 チェコとスロヴァキアの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史) 作者:薩摩秀登 河出書房新社 Amazon チェコとスロヴァキア、両地域の歴史を通覧できる良書。著者の薩摩秀登氏は中公新書から『物語チェコの歴史』を上梓しているが、こちらでカバーしていないスロヴァキアについても本書ではかなりページが割かれている。加えてユダヤ人やロマなどマイノリティについての言及も少なくないので、チェコとスロヴァキアを構成した多様な住人の姿を知ることができる。 この本の1章から3章まではチェコの歴史の概説になる。チェコは小国ではあるが、この章を読むとドイツ史・ハプスブルク帝国史における重大事件がこの国を舞台として起きていることがわかる。チェコの英主オタカル2世はハプスブルクの始祖ルドルフと覇権を競って敗死しているし、プラハに生まれたカレル4世は神聖ローマ皇帝を兼ね、故郷にアルプス以北のヨーロッパで初の大学となる