木枯し紋次郎(一)~赦免花は散った~ (光文社文庫) 作者:笹沢 左保 光文社 Amazon 「あっしには関わりのねぇこって」──『木枯し紋次郎』をリアルタイムで視聴していない私でも、この台詞くらいは知っている。原作小説を読んでみたところ、この有名な台詞は一巻では出てこなかった。これはドラマ版のオリジナルなのだろうか。とはいえ、小説でも渡世人の紋次郎が堅気の世界とは一線を引いて生きていることに変わりはない。いや、そもそも紋次郎はあらゆる他者と積極的にかかわろうとはしない。第一話『赦免花は散った』を読めば、この紋次郎の虚無的な性格が形成された事情が理解できる。兄弟の契りを交わした仲間に裏切られ、生きる希望を摘み取られた紋次郎は目的もなく、ただ死ぬまでの時間つぶしをしながら流れ歩く男になった。彼にとって人助けはこの世に生きた証を残す手段ではなく、ただの気まぐれでしかないのだ。 だが、裏切られる
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