大阪城公園のほとりにひときわ目立つガラス張りの超高層ビル「クリスタルタワー」での栄華を誇った社長生活から一転、たった3畳の独房暮らしへ。分譲マンション供給戸数が全国有数で東証1部上場(その後東証スタンダードに移行)の不動産会社プレサンスコーポレーションの創業社長だった山岸忍さん(60)は、無実の罪で大阪地検特捜部に逮捕され、拘置所での勾留生活を余儀なくされた。会社倒産の危機を前に、一代で築いた売上高2000億円超の会社も泣く泣く手放した。 だが山岸さんは約2年後、無罪判決を得て冤罪を晴らす。検事のからめ手による攻略にも、うそなく認識通りのことを答える「単純で率直な思考」の流儀で対抗した。無罪確定後も検察サイドが謝罪も検証もしないことに怒りを隠さず、国を相手取った賠償の請求や言論活動で闘いを続けている。その心境を聞いた。(共同通信=武田惇志) ▽21億円横領事件に発展 2015年12月、山岸