はじめに あの歴史的な“国際紛争への対処における非対称コヒレント型スキームの適用と実施に関わる共同宣言”、いわゆる「ジュネーブ宣言」から12年の歳月が流れ、その間に各国の安全保証の枠組みは着実にジャンケンへと移行してきた。 今日、なおジャンケンの有効性と限界についての議論は活発に続けられているものの、戦争の新たな形態としてのジャンケンは、すでに世界規模で受け入れられていると言ってよい。 今や、ジャンケンこそ地域安全保障の要であり、グー、チョキ、パーの三軍を効果的に統括し連携させる能力、それがすなわち国家の軍事的パワーそのものだ、という「現実」を、否定あるいは軽視することはおそらく誰にも出来ないだろう。 しかるに、こと我が国においては、ジャンケンに対する認識も議論も今だ抽象レベルに止まり、必ずしも充分に現実を踏まえたものになっているとは言い難いのではないか。 本レポートは、ジャンケン研究で最