美術館を内側で支える人たちへのインタビューです。展覧会や作品展示に関わるスタッフ、東近美にゆかりのある皆さんの声から、普段は見ることのない美術館の舞台裏が見えてきます。 まだ肌寒い3月のある日のこと。武蔵野の住宅街を、私たち60周年記念サイトの取材スタッフは訪れた。目の前には、ヨーロッパの童話に出てきそうな三角屋根のかわいらしい家。小さな看板には「山領絵画修復工房」とある。ここは、山領まりさんが主宰する修復工房だ。 工房内はロフトのような2層構造で、1階では紙作品、2階では主に油絵の修復を行っている。天井の一部は白い遮幕で覆われ、室内に光が均等に降り注ぐようになっており、最良のコンディションで作品が見られるように設計されている。この部屋で、総勢6名のスタッフが作品の修復に当たる。 修復する作品の技法、支持体はさまざま。それに合わせてありとあらゆる素材、用具が工房に並んでいる。 訪問当時、