古代窯から愛知の発展を辿る。鈴木俊晴が見た、「知られざる古代の名陶 猿投窯」展5〜6世紀の古墳時代、渡来人から日本へ伝わった新しい焼き物「須恵器(すえき)」を発端にした、愛知の「猿投窯(さなげよう)」。名古屋市の東方に広がる丘陵地帯に残る無数の窯の遺跡を指す、この猿投窯を取り上げた展覧会が、愛知県陶磁美術館で開催中だ。一見アカデミックな展覧会の歴史的位置付けについて、豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が新たな視点から論じる。 文=鈴木俊晴 「知られざる古代の名陶 猿投窯」展 美でも、原点でもないとしても 鈴木俊晴 評 タイトルに「知られざる」とあるように、猿投窯(さなげよう)は、例えば「瀬戸もの」として焼き物の代名詞にもなっている瀬戸窯などと比べれば、たしかに一般的に知られていない。しかし、愛知の陶磁器の専門の博物館としての活動40周年を記念する展覧会としてとりあげるにすぐれて真っ当な主題であり