作家・思想家の東浩紀が創業した株式会社ゲンロンのウェブサイトです。
2011年07月01日10:34 カテゴリ本 自由主義と個人主義の間 昨今の混乱をきわめた政治を見ていると、日本人には合理的な意思決定は無理なのかなと思ってしまう。これは丸山眞男を初めとして近代の知識人が、くり返し問い続けたテーマである。従来の丸山論では、日本の特殊性を分析する彼の問題意識に賛同する者と、彼が理想化した(実在しない)西洋とひとリ芝居をしていたたけじゃないのという吉本隆明などの批判がある。 本書は、その西洋的理念に二つの要素があったことを指摘する。それは現代でいえば、フリードマンやハイエクのような明るい自由主義と、テイラーやグレイの批判する暗い個人主義の違いともいえようか。前者は論理によって学ぶことのできる普遍的真理で、日本人であっても一定の知性があれば身につけることができるが、後者は特殊キリスト教的な情念で、勉強で身につけることはできない。 西洋人は意識していないが、彼らの
独自のビジネスモデルとムーブメントの確立に向けて ――『bis』では、既存の出版モデルと違う、メディア的なイノベーションにも積極的に取り組まれていくのでしょうか? 東氏■はい。まず『bis』では出版取次は通さず、ネット直販や一部書店さんとの直取り引きで販売する予定です。というのは、旧『思想地図』の売り上げデータを見ると、非常に限られた書店で集中的に売れていたんですね、当然ながらネットの比率も高い。そこで取次を通さず、上位の書店とネットだけの販売である程度いけるだろうという判断をしました。もちろん、もともと『思想地図』は1万5,000部売れていた本なので、それに比べれば限定的な部数からのスタートになってしまいます。けれど、自分たちだけの力で一から始める以上は仕方ない。むしろ、自分たちの自由になる販路でやる方法を選ぶべきだと考えました。 それに取次を通すと、電子書籍化の際にも面倒な問題になるだ
2010年01月01日17:02 カテゴリ本科学/文化 正義の理念 正義とか公正という概念は、経済学だけではなく哲学や政治学にとってもつまずきの石である。「格差社会」を指弾する人々は、所得分配は平等であればあるほどいいと思っているのだろうが、働いても働かなくても所得が同じになったら、誰も働かなくなるだろう。他方、所得分配を市場だけで決めて課税も福祉給付もしないと、貧富の差は非常に大きくなる。この両極端が望ましくないことは自明だが、その間のどこに「最適」の分配があるのか、という問題には理論的な答がない。 どういう分配が望ましいかを決めるには、人々の意思を集計する必要があるが、そういう集計は不可能だというのがアロウの一般不可能性定理である。著者は若いころ、アロウの定理を拡張して社会的選択理論の数学的な研究を行ない、のちには祖国インドの飢餓をテーマとして途上国の貧困の問題に取り組み、社会的公正の
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