人口の上位1%が富の4分の1を占める韓国。格差社会の象徴とも呼ばれてきた場所がある。タルトンネ=月の町と呼ばれる韓国最大のスラムだ。NHKスペシャル「臨界世界 月の町タルトンネ ソウル最後のスラム」(4月26日夜9時から放送)。経済成長の光と影が交錯する巨大スラムの今を記録した。(寄稿:NHK趙顯豎、NHK有元優喜/全2回の1回目) ◆ ◆ ◆ ソウル・カンナムの“巨大スラム” その町は、たった一本の道路によって社会から隔絶されていた。 丘の斜面に、1000を超す粗末なバラックがひしめいている。狭い路地を歩くと、見たことのない素材の外壁がつづいている。苔むして緑がかったフェルトのような繊維の生地、黒いゴミ袋に何かを詰めて積み上げた土囊、赤茶色に錆びた冷蔵庫や洗濯機が積まれてできた塀。路地は舗装されておらず、土壌がむきだしだ。電気、ガス、水道、公共インフラの一切は行き届かず、頭上を這うように

