「キャラクター」問題を真っ向から論じた鮮烈な評論集 笠井潔 『探偵小説と記号的人物(キャラ/キャラクター) ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?』 《ハヤカワ・ミステリマガジン》誌上で7年以上も連載を続けている「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」。『バイバイ、エンジェル』に始まる《矢吹駆シリーズ》と同じく笠井潔先生のライフワークであるこの連載評論が、2005年11月刊の『探偵小説と二〇世紀精神』に続き、06年7月にまとまり、刊行されます。 京極夏彦や森博嗣以降、探偵小説は、登場人物の「キャラ」性を前面に打ち出した、キャラクター小説的な色合いを強く帯びてきているように見受けられます。 探偵小説は一体どこへ向かおうとしているのか。 「人物、性格」という意味のほかに、「文字、記号」という意味も持つ「キャラクター」という単語。このキーワードを頼りに、近代小説の流れを参照しつつ、「キャラ」「キャラク