作家の江國香織氏の新刊『読んでばっか』(筑摩書房)には、絵本、童話から小説、エッセイ、詩、そして海外ミステリーまで、幅広いジャンルの本の書評などが収録されている。瀬戸内寂聴や佐野洋子といった親交のあった作家との忘れがたいエピソードや、自身が子供の頃に住んでいた街の追憶などを交えながら、各書籍の魅力が綴られている。江國氏にとっては、読書とは旅のようなものなのだという。そんな江國氏に、本を読むことについての思いを聞いた。(篠原諄也) 読むことと書くことは、出かけるという意味では一緒 江國香織『読んでばっか』(筑摩書房) ーー本書は毎日新聞での書評、文庫本の解説などが収録されていますが、一冊にまとめて刊行した今のご感想を教えてください。 江國:自分が書いたものではあるんですけれど、それぞれの本が素晴らしかったので、そのよさを思い出しました。取り上げている本の力によって、いい本になっているような気