東日本大震災を契機に移動手段としての自転車が一躍脚光を浴びた。自転車利用者の急激な増加にともなって歩行者との接触事故なども多発することになり、「自転車は車道で左側通行」が各方面で唱えられている。 「ヨーロッパでは自転車通行帯が整備され、歩行者と自転車は分離されているのがあたりまえ」などと自転車先進国を見習えと言われる。そういえば、パリの歩道上にも自転車の交互通行帯が白線で区切られ、それでうかつにも友だちとの話に夢中になっていたりすると、「ここは自転車レーンだから立ち止まらないで」と注意された経験があった。 日本からしてみたら自転車の本場であるヨーロッパはいい見本だ。ところがボク自身は恥ずかしいことに四半世紀のツール・ド・フランス取材において、「自転車と歩行者の住み分け」という観点でものごとを見ていないことに気づいた。そこで遅ればせながらこの夏はその部分も注意深く観察しながらフランス一周の旅