日本銀行が金融政策の枠組みを修正したことは国内外に大きな波紋を招いた。修正したのは、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)というものだ。これは短期金利をマイナスに、そして10年物国債金利(長期金利)をゼロ金利の上下0・5%に誘導して、金融緩和を実現する政策である。 7月の金融政策決定会合では、この長期金利の上限が1%まで達することを認める修正を行った。金利を引き上げることになるので、これは「金融引き締め」である。実際に、すぐに長期金利は従来の上限0・5%を突破して、0・6%台前後まで上昇した。企業向けの貸出金利や住宅ローンの金利が高くなるのは今後避けられない。 この金利引き上げで喜ぶのは、預貸金利差でもうける銀行や、取引が活発化する債券ディーラーぐらいだ。あとは日本の停滞を歓迎しているとしか思えない一部のマスコミや官僚たちだ。 YCC修正には緊縮政策を喜ぶ勢力への特別サービス