トップレビュー笑い飯、そしてM-1グランプリはいかにして怪物になったのか。80人以上の証言を交えた圧巻のノンフィクション『笑い神 M-1、その純情と狂気』 『笑い神 M-1、その純情と狂気』(中村 計/文藝春秋) 「人生、変えてくれ」──。2021年M-1グランプリのキャッチコピーどおり、この年、栄冠を手にした錦鯉は、人生を激変させた。優勝すれば、いや、決勝で爪痕を残すだけでも、その後の運命が大きく変わるM-1グランプリ。漫才界でもっとも権威ある大会のひとつとして、今や年末の風物詩になっている。 そんなM-1グランプリにすべてを懸けた漫才師たちを追ったのが、『笑い神 M-1、その純情と狂気』(中村 計/文藝春秋)だ。軸になるのは、2010年に、結成10年目のM-1ラストイヤーで悲願の優勝をもぎ取った笑い飯。哲夫さんと西田幸治さんが互いにボケ合う「ダブルボケ」で、「鳥人」「奈良県立歴史民俗博