フットサルの試合を終えて、ぜーぜーと肩で息をしている中年男の隣で、社会人1年目の若者が、ちょっと近所を散歩してきたくらいの涼しい顔をしていた。 聞けば、1994年生まれの23歳だという。「ドーハの悲劇」は誕生前に起こった歴史上の出来事で、あの日韓ワールドカップの熱狂もおぼろげな記憶でしかない。 「90年のイタリア・ワールドカップ決勝で、テレビのゲスト解説をしてたのが王貞治だったって知ってる?」 50歳を過ぎたオジサンが鉄板のサッカーネタを振っても、つまらない冗談だと思ってまともに取り合ってくれない。 「サッカーと野球の一番の違いは、手が使えないことですねぇ」 などと世界のホームラン王が話していた頃から、まだ30年も経っていない。 日本サッカーが、信じられないようなスピードで成長を遂げてきたのだと、あらためて実感させられる。 くだんの社会人1年生が、いや、彼よりもう少し年上の20代後半の世代