タグ

ブックマーク / honz.jp (8)

  • どうしてあなたはそんなにいい子ちゃんなの? 『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙』 - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 中野 亜海は三味線と江戸時代を趣味に持ちながら、実用書やビジネス系のも手掛ける敏腕編集者。今後の彼女の活躍にどうぞ、ご期待ください!(HONZ編集部) 目が見えない、あるいは耳の聞こえない子どもたちは、こう言われて育つらしい。「どうして、ヘレン・ケラーのようにできないの?」 筆者のジョージナ・クリーグは目が見えない。対してヘレン・ケラーは、目も見えない上に耳も聞こえない。子どもの頃から、自分より障害が重いこの偉人と比べられ続けた彼女が、ムカつきすぎてヘレンに怒りの手紙を書いたのが書だ。もちろんヘレンから返事が届くことはない。一方的に書いている。 筆者の、ヘレンへの一通目の手紙は素朴なつっこみだ。「ちょっとあなた、いい子ちゃんすぎない?」である。書は「創造的ノンフィクション」という形式で書かれている。これは、資料に基づいた正確な事実を、筆者が

    どうしてあなたはそんなにいい子ちゃんなの? 『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙』 - HONZ
  • 『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった - HONZ

    著者のマーク・チャンギージーは、1969年生まれの進化神経生物学者。カリフォルニア工科大学の特別研究員、レンスラー工科大学准教授などをへて現在はヒューマンファクトリー・ラボという研究所を主宰。認知と進化についての独創的な研究で世界的に知られ、数多くの論文を学術誌に発表している。その一方で、サイエンスライター、作家、さらにとくに書第一章とも関係のある皮膚の色の変化を浮き彫りにするメガネを開発するなど起業家としての顔をもつ。TEDやYouTubeチャンネルなどメディア露出も多い多才の人である。 書の目的は、ヒトの進化の「なぜ?」という問いに答えることだ。なぜ人間には色付きでものが見えるようになったのか? なぜ人間の目は前向きについているのか? なぜ人間は目の錯覚を起こすのか? なぜ文字は現在のような形をしているのか? お話として面白く刺激的に書かれてい

    『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 植物状態と診断されながらも、じつは意識がある人たち。そうと示すことがまったくできなくても、たしかな認識能力を持ち、どうしようもない孤立感や痛みを感じている人たち。そうした人たちが置かれている状況を想像し、悪夢とも思えるその可能性に身震いしてしまった経験が、おそらくあなたにもあるのではないだろうか。だが現在の科学は、その可能性を前にしてただ震えているばかりではない。誰かが現にそうした状況にあるかどうかは、なんと科学的に検証できるようになりつつあるのだ。 書の著者エイドリアン・オーウェンは、その科学を「グレイ・ゾーンの科学」と呼ぶ。グレイ・ゾーンとは、おもに植物状態と診断されている患者の、「物事を満足に認識できないが、認識能力を完全には失っていない」状態である。そしてオー

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ

    京都の若い女性からの切実な願い 1995年5月初旬のことです。ユニークな内容が書かれた一通の手書きの依頼文が、『探偵!ナイトスクープ』に寄せられました。そのころはまだパソコンが普及していませんでしたから、依頼は必ず、はがきか手紙で寄せられました。 手紙をくれたのは、京都市内に住む24歳の女子学生でした。地元京都で学生になる前に、東京で働いていた時期があったようです。この依頼はまさにこののテーマ、なんと「女陰」の名称の全国方言分布図を作成してほしいと求める内容だったのです。こんなお願いが、若い女性から、しかも大真面目な文章で寄せられてくるとは、夢にも思っていませんでした。 私たちに依頼文が届いたのは、1991年5月24日に「全国アホ・バカ分布図の完成」編を放送してから、ちょうど4年が経ったころでした。この放送をきっかけに、私が「アホ・バカ方言」の研究を仕事の合間に始め、『全国アホ・バカ分布

    【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ
  • 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか? - HONZ

    書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及のみに終始するのではなく、物理的・個人的な直接原因と背景的・組織的な根幹原因を併せて究明しようとする、安全工学に経営学などの要素を加味したものである。 しかしながら、書はこうした失敗の工学的メカニズムを明らかにするだけでなく、更に「人間が失敗から学んで進化を遂げるメカニズム」に焦点を当て、我々が進化を遂げて成功に至るカギは、「失敗とどう向き合うか」にあることを明らかにしている。 書では、まず航空業界と医学界という二つの業界を取り上げ

    『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか? - HONZ
  • 遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』 - HONZ

    遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』 双子研究を筆頭に、遺伝子が我々の身体的特徴だけではなくIQや統合失調症などの病気といった数々の要因に深く関連していることがわかってきている。が、そうであるならば遺伝子についての知見を深めることによって政策レベルで活かす──介入したほうがいい人間には介入し、そうでない人間には介入しない──というような形の、オーダーメイド政策はありえるのか。 たとえば、受け継がれた遺伝子的な差異こそが社会的不平等の第一の駆動力なのだろうか。現在の機会均等は主に”勉強ができること”によってもたらされているが、そもそもその能力に生来から違いがあるのだとしたらそれはどれ程の不平等につながっているのか。もしそれが明らかになれば、より適切な平等へ向けて歩み出すことができるかもしれない。これは見方によって

    遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』 - HONZ
  • 『言葉の海へ』文庫解説 by 金水 敏 - HONZ

    書は、国語辞典『言海』の編者である大槻文彦の生涯を描いた評伝である。国語辞典と言えば、2011年に、国語辞典の編集に携わる人々を描いた三浦しをんの小説「舟を編む」がヒットし、その後映画化・アニメ化もされた。また2018年には広辞苑第七版が刊行され、新語として取り込まれた項目や、語釈の誤りが報道やネットで取り沙汰されるなど、日人にとって国語辞典は何かと関心の的である。 しかしながら、『言葉の海へ』第一章に描かれた、芝紅葉館での『言海』出版祝賀会の様子は、「関心の的」という言葉では済まされない、異様な政治的緊迫感を漂わせている。なによりその出席者の顔ぶれが、今日の目から見れば奇妙である。伊藤博文、勝安房(海舟)、榎武揚、谷干城、加藤弘之、物集高見、伊達宗敦、松平正直その他、歴史の教科書を賑わせる幕末・明治の元勲が賑々しく列席している(その顔ぶれは、薩長系というよりは旧幕臣、藩侯系に偏るの

    『言葉の海へ』文庫解説 by 金水 敏 - HONZ
  • 1