文具業界が自前主義からライセンス主義へ 大手メーカーの知財重視で特許回避が困難に 西形治郎氏(コクヨ知的財産担当部長) 文具業界の事業戦略の主軸が,他社の特許を回避するために代替技術を自社で開発する「自前主義」から,他社に特許技術を提供したり他者の特許技術を利用したりする「ライセンス主義」に移り始めた。例えば,文具・オフィス家具メーカーのコクヨは「詳細は明らかにできないが3社とライセンス交渉をし,そのうち2社にライセンス供与した」(コクヨ知的財産担当部長の西形治郎氏)と言う。これは,ライセンス実績が少ない文具業界にとっては特筆すべき成果と言える。このように文具業界においてライセンス戦略を採る企業が出てきた背景には,同業界において商品開発スピードが速まっていることに加え,大手メーカーを中心に特許ポートフォリオを構築して知財を駆使した事業展開を進めようとする企業が出てきたことが挙げられる