脳出血で倒れてから3年たった。 松山市の佐川陸さん(19)は、まだ体のバランスを崩すことも多い。10分前のことを忘れてしまう。いつも通うスーパーで、自分のいる場所がわからなくなる。 ひらがなやカタカナ、漢字の読み書きもすべて記憶から消えていた。一からひらがなを学び直す。きっての「き」。りはびりの「り」。カードを使って一文字ずつ。簡単にはいかない。でも諦めることはできない。 2020年8月、高校2年生の夏休みに脳出血で倒れた。脳の中に異常な血管の塊ができる「脳動静脈奇形」が破裂したことが原因。発生率は10万人に1人と言われる先天性の病気で、予兆はなかった。 自宅から救急搬送され、目が開いたのは1週間後。食べることも、しゃべることもできない。ただ、天井の一点を見つめていた。 父親の佐川功二さん(48)は「もうずっとこのままかもしれない。生きていてくれさえすればと思っていた」と振り返る。 それか