リストとクララの1838年 面白いと思っていることがひとつある。 1824年にシューベルトが大きなピアノソナタを作った。 演奏には最高度の技巧を持つ二人のピアニストが必要、ということで一般の愛好家向けではないということなのか、シューベルトの生前には出版されなかった。 1838年、つまりシューベルトの没後10年にあたる年、ウィーンではちょっとしたシューベルト再発見の動きがあった。その一役を担ったのがフランツ・リストである。ウィーンでツェルニーに師事し、おそらくはベートーヴェンにも少し演奏を聴いてもらっ