筒井康隆のエッセイ。自衛隊の海外派兵問題・死刑囚の永山則夫と日本文芸家協会の問題など、話題としては古いんですが、今読んでも十分に面白い。 たとえば、自衛隊の海外派兵問題についてはこうです。 世界史的転換期に国連平和協力法案というものが重なったため、心の落ち着きのないままに膨張発展してきた日本で「国際社会の一員としての自覚」だの「いつまでも今までのような態度をとり続けていることは許されない」だのという、見かけだけはカッコいいが、あまり意味のないことばが叫ばれはじめているのも、国家としての威信を身につけようとしているあらわれなのだが、現在の日本の資質から考えてこれほど遠く離れた願望はない。(中略) 別段カッコよくアメリカに「NO」などという必要はなく、「そんなこと言いはったかてまだ人質がおりまんがな」と、カッコ悪くおろおろ声で泣くだけで何もしないでいた方がむしろ、商人国家としての日本、最近景気