「これまでの私の人生を振り返ってみると、大きな三つの辛い出来事がありました」――そう語るのは、岸田ひろ実さん。 【写真】ひろ実さんの頼れる娘の奈美さんと明るいダウン症の息子の良太さん その三つの出来事とは、授かった長男・良太さんがダウン症だったこと、39歳だった夫の急逝、さらに自分が大動脈解離の手術の後遺症で突然歩けなくなったこと。でも、それらは決して悪いことばかりではなく、自分にとっての転機だったと振り返る。 立ち直れないほどの困難に直面した当時、どう考え、どうやって乗り越え、現在はどう受け止めているのか。岸田ひろ実さんによるエッセイ集『人生、山あり谷あり家族あり』から3回に分けて紹介する。(全3回の2回目/1回目から読む) *** 39歳で急逝した夫、岸田浩二と出会ったのは、短期大学を卒業して不動産会社で働き始めた時でした。私より3歳年上の同期でもありました。夫と私の他に同期の社員は4