『atプラス』の権丈善一さんの論説「政策技術学としての経済学を求めて」を契機にして、いくつか文章をここに掲載した。その際に、貧者に一定の所得を再配分すること、あるいは病人や幼児・老人など「弱者」を救済することが重要である、ということを主張した。この「重要である」(=社会的に必要である)という価値判断が、貧困や弱者の経済学の中では実証と抜きがたく混じっていることを理論的な枠組みで説明した。例えば権丈さんの論説でも実際には新古典派経済学でも弱い価値判断(パレート最適)で政策判断をしているという指摘がある。 例えば新古典派経済学的な物言いでは、「弱者」というのは既得権益をもっていて、それは既得権益をもたない人たちとの経済的な障壁をなくすことで全員の「厚生」が高まる、という話がなされやすい。例えば、障害者でも働くことが可能であれば働くのが最善である(=非障害者との障壁をなくすことがのぞましい)とい