「映画を見にいきませんか」 ある金曜日、義父(79歳)に声をかけました。夏が来てから『竜とそばかすの姫』も『科捜研の女』もすげ無く断られた後の、懲りない映画の誘い。 義父は2年前脳梗塞で倒れ、左半身が以前ほどスムーズに動かせなくなりました。リハビリを続け歩けるようになったけど、もちろん以前のはつらつとしたスピード感はなく、積極的に運動する意思も低下で日中はほぼソファと一体化。運動を免除された筋肉はどんどん細くなっていき、義母と二人で抱く「細くって羨ましい」と「外出と運動が必要よね」という思い。 どこに行くのももうめんどくさいんだよ、という雰囲気を醸し出しながらおじいちゃんが顔を上げ、私は間髪入れずにファイナルアンサーを口にしました。 「007です。ノーなんとかトゥーなんとか」 英語がからきしダメな私はこのタイトルを「死ぬまでにはもう時間がない(もうすぐ死ぬ)」という意味だと一生懸命考えた末
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