コンピューター科学の巨人、アラン・チューリング。彼の考案した仮想のマシン=チューリングマシンはコンピューターの原理となり、その後、コンピューター実機の開発が始まる。しかし、チューリングは最初からコンピューターの原理を考案しようとしたわけではなかった。チューリングマシンからコンピューターが生まれるまでには長い物語がある。(後半) 1.チューリングとカントールの論法 前半からの続き。 チューリングもカントールの論法に則り、どんな計算も可能なチューリングマシンは存在しえないこと(=数学の不完全性)を証明する。しかしチューリングは、この論法をただ模倣したのではなく、彼独自の素晴らしい"発想"を付け加える。これは、コンピューターの発展史にとって極めて重要なことだった。 何故ならば、この発想こそが後に「フォン・ノイマン型コンピューター」の特徴へと繋がるのだ。実は今、私たちが使っているコンピューター(勿