夢の中でのび太はドラえもんに帰らなければいけないという。ドラえもんが帰るのではなく、のび太がどこかに帰るのだ。 ただ、そのとき、外はひどい土砂降りだった。彼らが暮らしている街の河川が氾濫し、様子を見に行ったドラえもんがその濁流に呑みこまれる。 あっ、と思う間もなかった。 のび太はまったくのためらいを見せなかった。恋人を助けるために自らも川に飛びこんだのだ。無謀で、けれど最高に男前だった(原作でのび太は泳げたのだっけ)。映画のワンシーンのようだった。 なんやかんやでふたりは助かり、のび太のママは彼らにとりあえずお風呂に入りなさいと声をかける。帰るのはそれからでいいでしょうと。たしかにふたりはカフェオレのような泥水に身を投げたせいですっかり汚れていたし、その身体は芯から冷え切っていたのだと思う。 家庭用の狭い浴室だ。のび太が先に入り、ドラえもんが続く。彼らは並んで頭や身体を洗う。そのとき、のび