源平の合戦が源氏方勝利で決着後、兄源頼朝に疎まれて逃亡する義経を軸に、その後の平家ゆかりの人々の姿を描いたのが「義経千本桜」である。延享4(1747)年に人形浄瑠璃で初演され、翌年に歌舞伎に入った。その四段目のクライマックス部分「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)」が、東京・国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」で7月3~27日に上演される。中村又五郎さんが主人公の佐藤忠信と源九郎狐(げんくろうぎつね)をつとめる。キツネの子の親への思いが主題だ。 通称は「四の切」。義経の家臣忠信は都落ちする義経に愛人静御前を託される。だが、その忠信はにせもの。静御前に義経が託した初音の鼓の革に使われたキツネの子がなりすましていた。義経が身を寄せる河連法眼の館を本物の忠信が訪れる。静御前について尋ねられて知らないと答えた忠信を義経は家来の駿河次郎と亀井六郎に捕らえさせる。そこに静御前とニセの忠信が到着。義経はニセ忠