7月6日、オウム真理教の元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら7人の死刑が執行された。地下鉄サリン事件で強制捜査が行われるまで、日本ではオウム真理教の攻撃性や狂気に気づく人は少なかった。だが作家の佐藤優氏は「ロシアは日本より先にオウム真理教の危険性を十二分に理解していた」という。それはなぜなのか。佐藤氏と政治学者の片山杜秀氏との「平成史対談」をお届けしよう――。(第7回) ※本稿は、佐藤優、片山杜秀『平成史』(小学館)の第二章「オウム真理教がいざなう千年に一度の大世紀末 平成7年→平成11年」の一部を再編集したものです。 麻原作曲の大交響曲 【佐藤優(作家)】90年代中盤は、片山先生はどんなお仕事をなさっていましたか? 【片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授)】いや、お恥ずかしいことしか。非常勤講師として大学や専門学校で教えながら、それよりも稼ぎはライターや音楽評論家の方が多かったですね。 こ