滝本竜彦「NHKにようこそ!」を読む。 『悪と立ち向かう戦士』 それはまったく、俺たちの願望そのものだった。 悪い組織と戦いたい。悪者と戦いたい。もしも戦争などが勃発したならば、俺たちは即効で自衛隊などに入り、神風特攻していただろう。きっとそれは、意味のある生き様で、格好いい死に様である。もしもこの世に悪者がいてくれたのであれば、俺たちは戦った。拳を振り上げて戦った。そうに違いない。 しかし悪者はどこにもいない。世の中はいろいろと複雑で、目に見えるような悪者など、存在しない。それが辛く、そして苦しい。 「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」でも描かれた「分かりやすい敵の不在」はこの本でも大きなテーマだ。 私も活動的なクチではないから、ヒキコモリまでは行かないでも、夏休みなんかは何もすることがなくて、暇をもてあましまくっていた。そういう時、なんとも言われない不安がよぎる。それは、たぶん「