天孫降臨の言い伝えが残る宮崎県に、兄弟の神様から名前をとったJR九州の観光特急「海幸山幸」が誕生した。天然材を外装にも使った斬新なデザインが人気を集め、予約は1カ月先まで満席の状態が続いているという。話題の列車に乗車するため、すっかり寒くなった東京を離れ、フェニックスがニョキニョキ生える南国の地を訪れてみた。JR九州が新特急「海幸山幸」 タン、タラララララ、ラー♪ 軽快なミュージックホーンを鳴らし、「海幸山幸」2両編成が走る。白塗りの外板に宮崎特産の飫肥杉を張り付けたおしゃれな車両は、一人暮らしを始めた女子大生の部屋のように初々しく可愛らしい。神様の厳かさとは無縁だ。 世界唯一の鉄道デザインコンテスト「ブルネイ賞」の常連でJR九州デザイン顧問の水戸岡鋭治氏は「木のおもちゃ」をコンセプトにしたという。内装も飫肥杉がふんだんに使用され、天然材の良い香りが充満した車内には、木の玩具を収めた小さな