海外でテロリストの人質になるとさかんに「自己責任」論が叫ばれる。他方、甲子園児の不祥事が発覚するとそのチームが不出場となる「連帯責任」も強い。「自己責任」と「連帯責任」、どちらが日本的責任のかたちなのか? 丸山眞男「無責任の体系」から出発し、数々の名著を読み解きつつ展開する、「在野研究者」による匿名性と責任をめぐる考察。第5回は、西洋の個人主義に対峙する概念として唱えられた日本的人間観「間人主義」についての考察から。 そもそも、分人という発想は、一九七〇~八〇年代に提唱された「間人」という概念を容易に連想させる。いまや論壇から忘れ去られた過去の遺物を通して眺めると、「分人」はかつてのアイディアの焼き直しにすぎないようにさえみえてくる。 間人とは、社会学者の浜口恵俊が『「日本らしさ」の再発見』や『間人主義の社会 日本』などの著作を中心にして唱えた西洋近代の個人主義に代わる日本的人間観の抽出概
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