今年の正月のことである。初詣に行った人たちが神社の「ある活動」に対して、インターネット上で次々に違和感を表明した。憲法改正の署名活動である。主導するのは「美しい日本の憲法をつくる国民の会」。背後には「日本会議」が存在する。 この会は「一千万人賛同者拡大運動」を展開する。国会での憲法改正発議を後押しし、国民投票で過半数を獲得することが目指されている。多くの神社が活動に賛同し、初詣客を対象として署名を訴えたのだ。 個別の神社が政治活動を行うことに問題はない。国家権力や行政が特定の宗教団体の活動を規制すれば、宗教弾圧になる。しかし、初詣という国民的慣習の場で、その主体となる神社が政治活動を行ったことに、違和感を抱く国民が多くいたことも事実である。 日本社会における神社の位置づけは、案外難しい。戦前は「神社非宗教」という説が採用され、明治憲法では形式上、信教の自由が保障された。しかし、「非宗教」と