勉強や生活でつまずいたとき、傍に支えるひとがいる環境の有無は大きい(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート) 物音ひとつない静まった部屋。パイプ椅子に座る20名の少年。襟付きの白シャツ、紺色のスラックス、白い靴下、全員が同じ筆箱を長机の前に置く。 ここは茨城県牛久市にある茨城農芸学院という少年院の一室だ。教室には本日ここで行われる金銭基礎教育プログラム「MoneyConnection(R)」のファシリテーターが並び、周囲には法務教官が4名配置されている。 起立の掛け声に合わせ、全員が背筋と手先を伸ばして直立する。「お願いします」の声に、耳が痛いほどの大きな声で少年が挨拶をする。 茨城農芸学院は、発達障がい傾向や知的な課題を抱える少年が多く在院している。パっと見ただけでは、そういう課題を持つ少年たちであることは見えづらい。おそらく、外見から立ち振る舞いまでが矯正教育のカ