紀元前7世紀ごろ、斉《せい》という国に、才能はあるものの失敗も多かった、管仲《かんちゅう》という男がいました。 【管仲の肖像画】 彼は若い頃からずっと、鮑叔《ほうしゅく》という男と親しく付き合っていました。 この鮑叔は、管仲に傑出した才能があることを見抜いており、このために管仲が不義を働いてもこれを見過ごし、怒ることも、交際を断つこともありませんでした。 二人はある時、南陽《なんよう》という土地で一緒に商売をしていたことがありました。 その時に貧しい境遇にあった管仲は、利益を配分する際に、鮑叔を騙して自分の取り分を多くします。 鮑叔はそれに気がついていたのですが、管仲を咎めず、好意的に接し続けました。 やがて時が過ぎると、二人はそれぞれに斉の公子たちに仕えるようになります。 (斉は公爵が治めており、公子はその子どものことをいいます。つまり公子は国主の後継者候補です。) 鮑叔は小白《しょうは