◎ 新書だが本格的な学術書に仕上がっている本 ◎ 【本論「部分」だけの書評を超えて】 ① 新 雅史(あらた まさふみ)『商店街はなぜ滅びるのか-社会・政治・経済史から探る再生の道-』光文社,2012年5月 本書は新書判で 221頁〔実質の本文は 215頁〕の専門書である。新書判で専門書を制作するといっても,これはなかなかむずかしい作業となる。それでも,一部の新書判の本が学術書の体裁をととのえて制作されている。限られた頁数(分量)で専門的な議論を展開する本を作るというのは,それ相応の努力・工夫が要求される。 本書が発売されてからだいぶ時間が経っているので,サイバー空間にはすでに論評が多く公開されている。それらから任意にいくつかを参考に聞き,そのあとに本ブログの筆者が,本書を読了してとくに摘出できた関心事に論及してみたい。 本書の概要はこう解説されている。「きわめて近代的な存在である
◎ 道路である橋の老朽化問題と皇室の21世紀的問題「憲法改正」 ◎ 【21世紀の社会問題:2題】 ① 社会基盤(インフラ)問題は日本も深刻 本ブログは「2012.4.29」「■20世紀の日本の原発,21世紀の日本社会(2)■」は「◎高齢社会の到来と社会基盤の老朽化◎」を「【21世紀の今後に日本は備えがあるのか】と,疑問を投げかけて論じていた。本日〔2012年5月2日〕の記述は,社会基盤(社会資本)を意味することば「インフラ」が日本においても,相当程度「老朽化」した段階まで達しており,以下に注目してとりあげる〈橋〉のばあいでも分かるように,その安全性に重大な問題が生じている事実をめぐって議論することから開始したい。 1) 「橋や道路,迫る寿命 膨らむインフラ補修費」2012年5月1日報道記事 全国の橋や道路,水道といった社会資本(インフラ)が一斉に寿命を迎えつつある。高度経済成長期に大量に造
◎ 工藤 隆の日本古代史観を修正する観点 ◎ 【 現代的視座から批判する「無批判的な古代史論」, 古代史観的な天皇・天皇制を批判することの今日的な意義 】 -------------------------------- 【 も く じ 】 ① 高橋孝吉『天皇制とニッポン文化の超克 横結の時代へ』2008年12月 ② 高橋孝吉の天皇・天皇制をめぐる諸議論 ③ 高橋孝吉 〔以上,1昨日:2012年4月9日記述〕 〔以下,本日:2012年4月11日記述〕 ④ 北 一輝「国家改造論」 ⑤ 高橋孝吉の問題意識 ⑥ 高橋孝吉の「天皇・天皇制」論 -------------------------------- ④ 北 一輝「国家改造論」 1) 北 一輝の主要著作 高橋孝吉は,北 一輝『日本改造法案大綱』(改造社, 大正12年)に言及している。日本における急進主義的なファシズム思
◎ 昭和天皇の近現代における政治関与 ◎ 【 死ぬまで日本の政治に口出ししてきた〈象徴だった〉はずの昭和天皇 】 ① 安田 浩『近代天皇制国家の歴史的位置-普遍性と特殊性を読みとく視座-』2011年10月 1) 安田 浩『近代天皇制国家の歴史的位置』の問題提起 本書,安田 浩『近代天皇制国家の歴史的位置-普遍性と特殊性を読みとく視座-』(大月書店,2011年10月)が論究した近現代における天皇・天皇制,それもとくに昭和の時代における「天皇ヒロヒト」問題にかかわるある論点をとりあげ,本日の本ブログは記述をおこないたい。同書の主旨と目次は,以下のとおりであう。 「急激な近代化が要請したシステム」はなにであったのか? 「近代天皇制の特殊な構造に迫る」ため「帝国主義段階の後発国として,急速な近代化を迫られた日本」「のなかで形成された近代天皇制を現代的視点からとらえなおし,新たな分析視角と方法を提示
◎ 明治以降に妥当しない話でする〈奇妙な天皇論〉 ◎ 【天皇論の呪縛:古代へ飛躍する,昭和戦後期から観た日本皇室論】 ① 石井良助『天皇』(講談社,2011年〔山川出版社,1982年〕) 1) 敗戦直後に発想された日本天皇論 本書,石井良介『天皇』2011〔1982〕年が構想されたのは昭和23〔1948〕年,上梓されたのがその2年後(1950年)であった。本書の視点は,太平洋戦争時の天皇絶対化をきびしく批判していた。石井の「天皇論」は,敗戦した日本帝国において「『天皇機関説』の色濃い影響下にある」立場から,「新しい『相対的な天皇』像を,いち早く世に問うた」。「それは主権は民のもとにありとする社会に受け入れられ,『天皇=権威』説の流布にも大きく寄与していた」(石井『天皇』,本郷和人「解説 時代を貫いて結実する天皇論」394頁)。 だが,本ブログの筆者はこの石井良介『天皇』を,出だしでいきなり
◎ 天災・人災・東電・官僚・天皇-流浪させられる〈我慢強い薄幸の民〉 と〈優雅に雲上を遊ぶ現人神の子孫〉が混住する国- ◎ 【人倫無惨・統治不在の日本国-誰がこの国を支配しているのか?】 ① 飯田哲也NPO環境エネルギー研究所所長 1) 京都大学原子力実験所出身者の1人:飯田哲也 本日〔2011年4月13日〕『朝日新聞』朝刊23面「文化」欄に,飯田哲也談「原子力からシフトを-自然エネルギー 50年までに100%に」という提案が紹介されている。飯田は,2050年を目標に「省エネ・節電」と「自然エネルギー」とで挟みうちにする方向で,原子力・石炭石油・天然ガスを主力する現在の発電体制を完全に不要化する構想を,具体的に提案している。 最近,東京電力福島第1原子力発電所の損壊事故を介して,とくに京都大学原子力実験所の小出裕章助教(1949年生まれ),今中哲二助教(1950年生まれ)のような,原発
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く