★★★★★(評者)池田信夫 フーコー 生権力と統治性 著者:中山 元 販売元:河出書房新社 発売日:2010-03-17 クチコミを見る ミシェル・フーコーが死去してから四半世紀以上たつが、いまだに彼の全貌はよくわからない。彼の早世によって主著『性の歴史』が途絶し、日本では講義録の翻訳も止まっているため、彼の名はいまだに「構造主義」とか「人間の死」などのキャッチフレーズでしか知られていないが、著者も指摘するように、こうしたイメージは誤っている。 特にフーコーの中心テーマだった権力の問題については、彼の方針が二転三転し、まとまった著作を残さなかったため、早すぎた晩年の「空白の8年間」の講義やインタビューなどをたどらないと真意がよくわからない。本書はそれを未公刊の草稿まで渉猟し、あちこちに分散しているフーコーの(断片的で一貫していない)権力論を体系的にまとめた労作である。 フーコーといえば、「