指先の感情移入 「…マルチ」↓ 「――はい、浩之様」↓ 「ほら、なんとか言えよ?」↓ 「――なんなりと、ご命令ください」→ 「…違うだろ、マルチ」↓ 「――……」→ 「前みたいに笑顔、見せろよ」↓ 「――……」→ 「前みたいに甘えてこいよ」↓ 「――……」→ 「また、頭なでてやるからさ」↓ 「――……」↓ 「…な?」→ 「――なんなりとご命令ください」↓ 「………」→ 「――なんなりとご命令ください」↓ 「………」→ 「――なんなりとご命令ください」↓ 「………」→ 「――なんなりと…」↓ ぷつんっ。→ そんなことを、それから何度か繰り返した。↓ だけど、マルチは決して、あの日の笑顔を見せることはなかった。→ 言わずと知れた『To Heart』屈指の名場面、マルチ編エピローグの一幕であるが、見てのとおり平のテキストにすると「――……」がいくつも並んでいてどうにもユルいし、ヴィジュアルノベル