劇場長編アニメーション映画『君の名は。』の制作を始めたのは、2014年の夏でした。着想のきっかけはいくつかありましたが、ひとつは小野小町の有名な和歌です。 「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを」 好きなあなたを夢で見た、夢だと分かっていたならば目覚めなかったものを——そういう歌です。 新作映画『君の名は。』は、現代の日本を舞台にした、少年と少女の物語です。少女・三葉(みつは)は山深い田舎に暮らしていて、少年・瀧(たき)は東京都心の高校生。面識のないはずの彼らが、ある日互いの夢を見ます。それもものすごく具体的に、相手の生活そのものを体験する夢です。その夢に隠された秘密はいったいなんなのか——そんなところから、物語は始まります。現時点ではまだこれ以上の詳細はお伝えできませんが、思いきり楽しくて切なくて、生活の細部がそのまま宇宙の広がりにまで繋がっていくようなスケール感が