「たいしたことないですよ」謙遜のつもりの言葉が、屈辱の言葉になってはねかえってきて、今も僕の心を苛んでいる。 10月中旬。冷凍おせち事業の担当者が体調不良で倒れた。後任選びは難航。なぜなら一昨年、昨年と2年連続でおせち事業は数値目標を達成できず、社内で問題になったのを、部課長クラスなら誰でも知っていて、かつ、今シーズンも担当者が倒れた時点では芳しいものではなかったからだ。進んで手をあげるのは馬鹿であった。しかし、僕が代理として任されることになった。馬鹿ではない。部門長会議における一部上層部の計略で任されることになってしまったのだ。「これまでの方法ではうまくいかない。法人向け営業に長けた営業部の血を入れて販売を抜本的に変える」が表向きの理由。「うまくいかない事業を押し付けたい。失脚させたい」が真の理由であった。 家庭用おせちのセールス経験ナシ。前年までのノウハウ(販路)は当てにならない。予算