皆さんはご存知だろうか? 蟹光線という小説を。 多分名前だけなら みんな聞いたことがあると思う。 これは戦前の小説家、 小林多喜二が書いた作品のことだ。 話の内容としてはこうである。 ある寒い冬の日、 突如として宇宙から大量の甲殻類が襲来、 その蟹達は巨大なハサミから 地獄の殺人光線を発射し、 世界の街々を焼き尽くす。 そんな甲殻類の脅威に対して、 万国の労働者が立ち上がり、 野蛮な蟹とブルジョアジー達を打倒する。 確かそんな話だった気がする。 続編の海老光線と合わせて、 日本近代プロレタリアSF甲殻類文学の 金字塔として名高い作品だ。 こうして蟹達の侵略は プロレタリアートの蜂起によって 鎮圧された。 そして世界は長らく蟹の恐怖とは無縁の 平和な時代を迎える。 だが先日、私はこんな気になる文言を目にした。 「東武池袋 秋の大北海道展」 その日、人類は思い出した。 奴らに支配されていた恐怖