平山さんの最新刊です。 第2章 功を焦ってはならない Ⅳライトノベルの誘惑 功を焦り、下手を打ってしまったという点で、この『シュガーな俺』の発表はひとつの失敗を物語るケースといえるが、寸前で踏みとどまった経験も、僕にはある。それについても、この章で併せて明かしておこう。 時期的には『シュガーな俺』が出た翌年くらいのことなのだが、僕はある編集者から執筆の打診を受けていた。その人のことは、仮にY氏と呼んでおこう。実はY氏は、もともと僕の個人ブログにおける常連コメント投稿者の一人でもあり、リアルでの面識はないまま、コメント欄を通じての交流があった。その後、某出版大手のライトノベル編集部に職を得たY氏が、今度は一編集者として声をかけてきてくれて、そこで初めて顔を合わせる次第となったのだった。 そう、彼が提示してきたのは、ライトノベルを書いてみないかという申し出だった。 その時点で、ライトノベルと呼
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