ひこにゃん、うどん県、佐世保バーガー、今年の漢字――。「地方」と「文化」を掛けあわせ、誰もが耳にしたことがある国民的ブームを次々と巻き起こしてきた仕掛人・PRプロデューサーでTMオフィス代表取締役の殿村美樹氏の著書『ブームをつくる 人がみずから動く仕組み』(集英社新書)が1月に上梓された。 本書では、予算も実績もないブランドや商品を「ブーム」や「文化」に導くプロセスを明かしている。「情報があふれる世の中においては、本物の、心に響くストーリーが求められている」と話す殿村氏に、ゆるキャラブームの舞台裏に迫りつつ、時代の空気を察知するコツについて話を聞いた。 ――2007年の「国宝・彦根城築城400年祭」では、滋賀県彦根市のキャラクター「ひこにゃん」に目をつけた殿村氏。主役を彦根城からひこにゃんにズラすことで、母性本能をくすぐる愛らしさが女性たちの心を掴み、今や全国区の人気者になったことは周知の